キャンピングやボートなどのトレーラーをけん引したい場合、牽引車側の車検証に記載する950登録か、トレーラー側の車検証に記載する型式追加のどちらかをする必要があります。
多くの方は、利便性の高い950登録をするのではないでしょうか。軽自動車の場合は、302登録といいます。
この950登録(302登録)を申請する場合、運輸支局に「牽引可能なキャンピングトレーラ等の車両総重量計算書」という書類を提出しますが、これは、車検証と諸元表の数値を基にして、自分で計算しなければなりません。
必要な数値は、①車両総重量、②車両重量、③駆動軸の軸重、④制動停止距離、⑤初速、⑥最高出力、⑦駐車ブレーキ制動力、⑧駐車ブレーキ操作力、の8つの数値です。①と②は車検証を見れば、記載されています。③は4WDであれば①と同じ数値になり、FFやFRの場合は、諸元表に記載されている車両総重量に対する前軸重、後軸重を調べる必要があります。
他の④から⑧の数値は自動車メーカーから諸元表を取り寄せて調べる必要があります。
①から⑧の数値を使用し、けん引可能なトレーラーの車両総重量を計算するのですが、計算する数式はm1からm6の6種類あります。その中で一番、重要なのがm3とm4の数値で、計算式は下記のとおりです。
m3=(((V×V)/(147(Sー0.1V))ー1)×M
Vは初速、Sは制動停止距離、Mは車両総重量です。
たとえば、これは、「ホンダNバン」の数値ですが、初速(V)は100km/h、制動停止距離(S)は53m、車両総重量(M)は1430kgでした、これを数式にあてはめると、
m3=(((100×100)/147(53ー0.1×100))ー1)×1430=832.30
となり830kg以下のトレーラーをけん引できることになります。
しかし、他の計算式のm4を計算します。計算式は下記のとおりです。
m4=M’/2
M’は車両重量です。「ホンダNバン」は970Kgでしたので、これを数式にあてはめると、
m4=970÷2=485
となり、480Kg以下のトレーラーをけん引できることになります。
m3よりm4の数値の方が少ないので、より少ない数値である480Kgの重量になります。
ホンダNバンは、慣性ブレーキなしのトレーラーをけん引する場合は、480Kg以下の車両総重量のトレーラーまで可能ということです。
同じ感じで「スズキキャリィトラック」の計算をしてみます。
スズキキャリィの諸元表の数値は、初速(V)は80Km/h、制動停止距離(S)は50m、車両総重量(M)は1150kGです。これをm3の数式にあてはめてみます。
m3=(((80×80)/147(50ー0.1×80))ー1)×1150=42.09
となり、慣性ブレーキなしで、40kg以下の車両総重量のトレーラーしかけん引できないことになってしまいます。この時点で、スズキキャリィトラックでの950登録(302登録)で、慣性ブレーキなしのトレーラーのけん引は難しいことになってしまいます。
こういう場合は、トレーラー側に登録する型式追加であれば、トレーラーの車両総重量しだいですが、出来る可能性はあります。
それでも、軽自動車で、慣性ブレーキのない700kg程度のトレーラーをけん引しようとするのは、物理的に無理ですけどね。
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